『GRASSHOPPER』だからできることとは?プログラム開始にあたり

2018.10.23

GRASSHOPPERメディア 編集長
HEART CATCH 西村真里子

約1年前、Facebookメッセンジャーに突如、PARTY中村洋基からメッセージが入りました:

「電通CDCの月村さんという人とアクセラレータープログラムをスタートしようと思っていて、西村さんも中核メンバーになって欲しい。なぜならばこれは2015年に西村さんが行っていたスタートアップのためのデザイン&マーケティングプログラム”HEART CATCH 2015”に近しいものだから。そして家入さんや朴さん、深津さんと我々で飲んでいるときに話していることもここに結び付けられそうだから。」と。

私がHEART CATCHを立ち上げたのは2014年。
せっかく自分の会社を作ったのだから自分がパッションを持って取り組めることに挑戦しようと思い、最初に取り組んだのが「スタートアップのためのデザイン&マーケティング支援プログラム”HEART CATCH 2015”」。その当時、アメリカやフランスのスタートアップはデザインを意識したチーム作りやメンタリングがスタートし始めていて、日本のスタートアップが世界で十分に戦うためにも同じ意識で臨むようなムーブメントを起こしたいと考え3ヶ月間のメンタリング&発表イベントを行いました。
ありがたいことに多くの方々の支持を得て無事終了し、スタートアップ向けのデザイン&マーケティングの重要性が広まり様々な企業から仕事の依頼が増えたのですが、イベントとして再開できていなかったので、中村洋基からの声掛けはありがたい再挑戦の機会と考えました。

また、家入一真、 朴正義、 深津貴之、中村洋基という投資家、起業家、デザイナー、クリエイターとして活躍する面々とも一緒にスタートアップ支援の取り組みを作ろうという話も飲み会のたび出ており、その想いを集約するためにも良い機会と考え、上記の中村洋基のFacebookメッセンジャーでの相談にはすぐにYESという返事をしました。

「GRASSHOPPER」だからできるプログラム、メディアとは?

ただし、悩み・葛藤もありました。

①なぜならば世の中にはすでに多数のアクセラレーション、メンタリングプログラムがあるなかで、いまさら…と思われてしまいかねない。後発だが電通が行う価値はどこにあるのだろうか?

②そして、GRASSHOPPERメディアの編集長をお願いしたいと言われたが、これまたすでにスタートアップ関連メディアが多数ある昨今、新規メディアをオープンする理由はなんだろう?と。

①に関しては「クリエイティブ」に特化したメンター陣を集めることと、電通グループが有する国内グループ6,000社、海外グループ5,000社(※クライアント数)を超えるさまざまな企業や、大小あらゆるメディア媒体とのつながりを活用し、スタートアップのフェーズに合わせて必要なクリエイティブやビジネスパートナーとつながることが「価値」としてスタートアップに受け取ってもらえるように設計していくが大事だと考えています。幸いなことに当プロジェクトのリーダーである電通CDC月村寛之がすでに電通内の多くのステークホルダーに声がけされているのでここは大いに期待したいところです。

②の、メディア編集長としては大きな責任である「後発スタートアップメディアの価値作り」に関しては『GRASSHOPPER』という名前に恥じぬよう、一社でも「多く・大きくジャンプをするスタートアップを生み出すマインドや状況」を醸成しようと考えています。

挑戦したいけど失敗が怖い、一歩踏み出す方法がわからないという方々や、すでにスタートアップしているけど指針を見失いつつあるという方々がこのメディアを読むと、挑戦するためのメソッドが見つかるように、メディアの編集骨子にはインドの経営学者 サラス・サラスバシーの「エフェクチュエーション ー 市場創造の実効理論」を拠り所としていこうと考えています。

“THINKer”よりも “DOer”

このエフェクチュエーション理論では「成功する起業家の意思決定パターン」が紹介されているのですが、今まで我々が一般常識と考えていたアプローチとは逆のアプローチを提唱しており、これから大きくジャンプするスタートアップにとっては勇気がもてる内容が多く示唆されています。

例えば、

●彼らは、自分ができること(what they can)にフォーカスして、実行(do)する。何をすべきか(what they ought)については、思い悩むことはしない。
●彼らが交流する人々の一部は、自発的にそのベンチャーにコミットし、プ
ロセスに参画する。(サラス・サラスバシーの「エフェクチュエーション ー 市場創造の実効理論」)

ビジネスプランを考えてから動き出すのではなく、今自分にできることは何か?からスタートしていく“THINKer”よりも “DOer” を推奨し、成功する起業家の意思決定時の原則も紹介しています。少し長くなりますが、原則をこちらに紹介します。

・「許容可能な損失」の原則
この原則は、プロジェクトからの期待利益を計算して投資するのではなく、どこまで損失を許容する気があるか、あらかじめコミットすることである。

・「クレイジーキルト」の原則
この原則は、機会コストを気にかけたり、精級な競合分析を行ったりすることなしに、(コミットする意思を持つ)全ての関与者と交渉をしていくことにかかわる。さらに、経営に参画するメンバーが、企業の目的を決めるのであり、その逆ではない。

・「レモネード」の原則
この原則は、不確実な状況を避け、克服し、適応するのではなく、むしろ予期せぬ事態を梃子として活用することで、不確実な状況を認め、適切に対応していくことを示している。

・「飛行機の中のパイロット」の原則
この原則は、技術トラジェクトリーや社会経済学的トレンドのような外的要因を活用することに起業家の努力を限定するのではなく、エージェンシーとしての人間に働きかけることを、事業機会創造の主たる原動力とすることを示している。

上記 5つの原則は、「非予測的コントロール(non― predictive control)」のテクニックを具体化したものである。つまり、不確実な状況をコントールするにあたり、「予測をもとにした戦略(predictive strategy)」の使用を減らすことを志向する。これらの原則は、総体として、「エフェクチュエーション」と呼ばれる行為の論理を示している。
(サラス・サラスバシーの「エフェクチュエーション ー 市場創造の実効理論」)

GRASSHOPPERメディアでは編集部が「この人は固定概念に囚われずにエフェクチュエーション理論に則り行動している人である」と考える人を基準として取材し、記事化することにより日本のスタートアップ業界にエフェクチュエーション理論を浸透させていきたいと考えています。

ビジネスプランを作るよりも自分ができるところからスタートする、
自分のネットワークをフル活用して成功に結びつける、
例えば腐ったレモンを手に入れたら捨てるのではなくレモネードにしてしまう、競合を”競合”として扱わずに同じ志を持っている”仲間”として巻き込んでいき一緒に大きな市場を創出していく…
そんな活動をしている”エフェクチュエーション的なイノベーター”をたくさん発掘し、GRASSHOPPERでは取材していきます。

大きくジャンプしたくてうずうずしている方々が、GRASSHOPPERメディアの記事を読んで勇気をもらい、DOerになったという事例がたくさん出てくるようにこれから進めてまいります。

どうぞよろしくお願いいたします。