「TechCrunch Tokyo 2018」注目スタートアップ10選―前編

2018.11.19

2018年11月15日(木)・16日(金)に、東京・渋谷ヒカリエで開催された、日本最大級のスタートアップの祭典「TechCrunch Tokyo 2018」。業界を超えた気鋭のスタートアップが集結し、デモブースでの実演や、若きスタートアップの登竜門として注目度の高い「スタートアップバトル」が繰り広げられ、会場は終始熱気に満ちあふれていた。

本レポートでは、GRASSHOPPER編集部ライターが、次世代のスタートアップシーンを牽引するであろう企業・クリエイティブを感じさせる企業10社をセレクト。前編・後編に分けてお届けする。

AIが農家の目になる「自動野菜収穫ロボ」/inaho株式会社

会場内で一際目立つブースだった。機体から伸びたロボットアームが、アスパラガスを見事な手さばきでカットし、収穫していく。

inahoが開発するのは、これまで人の目で「選択収穫」されていた野菜や果物を、人工知能によって位置・サイズ・色を判別し、自動で収穫してくれるロボット。さらに、このロボットは自律走行も可能とし、ビニールハウス間を自力で移動するため、人的負担も最小限に抑えることが可能という。

現段階で対応しているのは、アスパラとキュウリの2種だが、今後その種類を他の野菜、さらには果物にまで拡大していくべく鋭意開発中とのこと。

このロボットは、販売ではなく、農家にリースをすることで、収穫量に応じた課金制をとる「RaaS(ロボティクス・アズ・ア・サービス)モデル」を採用しており、イニシャルコストなしで利用開始できるのも非常に魅力的だ。

日本初、単発専門のアルバイトアプリ / 株式会社タイミー

ピッチバトルで会場を賑わせたのが、今すぐ働けるワークシェアアプリを運営するタイミー。

人が無駄にしている空き時間の活用に着目し、当日の申し込みで、面接/履歴書なしですぐにアルバイトできる単発特化型のアルバイト探しアプリ「Taimee」を2018年8月にローンチした。

「1つのアルバイトに縛られずに自由に働きたい」「空いた時間にちょっとだけアルバイトしたい」「すぐにお金が欲しい」といった若者の潜在的なニーズを捉え、ローンチ3カ月で瞬く間にユーザー数1万3000人を突破したという。リピーターや仕事待ちのユーザーも多いことから、現在はアルバイト先=店舗増加に向けた営業を強化しているそうだ。

また学生に限らず、働き方改革が追い風となり、夕方以降の空き時間が増えるであろう社会人のアルバイト需要創出も目論んでおり、今後日本に増えていく自由なワークスタイルのひとつの形として、このサービスの普及に期待したい。

瞬時に“パーソナル空間”を作り出す「WEAR SPACE」/パナソニック株式会社×株式会社Shiftall

リモートワークの浸透やオフィスのフリーアドレス化など、働き方や職場がオープンになりつつある現代。そんな時代に、どんなオープンな空間にいても、一瞬で「集中」が手に入るプロダクト。

「WEAR SPACE」は、ノイズキャンセリング機能のヘッドホンと、視界を遮るパーティションを合体させたプロダクトで、身につけた瞬間、周囲との境界を作り出し、心理的なパーソナル空間の演出を可能にする。視界を覆うパーティーションが宙に浮いているように見えるデザインも、非常にクールだ。

本プロダクトを手がけるのは、パナソニック社内で新領域の先行開発を担う新組織・FUTURE LIFE FACTORYで、製造や販売はShiftallが担当しているとのこと。

販売は来年8月を予定しており、現在クラウドファンディングを実施中。

“アート版食べログ”「ARTLOGUE PLATFORM」/株式会社ARTLOGUE

メディアアートが大きな話題を博し、日本中の様々な都市・地域で芸術祭が開催され、“アート熱”が冷めない日本。一方で、ウェブ上にはアートにまつわる情報があふれ、行きたかったイベントを見逃してしまったり、美術館の情報に探し疲れた経験はないだろうか。

そんな困りごとを解決するのが、“アート界の食べログ”の名にふさわしいであろう当サービス。これまで数多くのアート関連情報を発信してきたメディアに、新機能として、人工知能によるレコメンド機能やユーザー間の交流、電子チケット販売などが追加されるとのこと。

好みのジャンルやエリアの登録、美術館やアーティストのフォロー・閲覧だけで、自分に最適なアートにまつわる情報がレコメンドされるとは、毎週末のアートイベントが楽しくなること間違いなし。

今後は、新機能追加で生まれる蓄積データをもとに、美術館やアーティストへのコンサルティングも視野に入れているという。

注目のドライブシェア領域では“タクシー相乗りサービス”「nearMe.」/株式会社NearMe

終電後のタクシー乗り場は長蛇の列ができることが多く、帰宅まで時間がかかることが多い。そんな深夜のタクシー難民を救うのが、2018年6月にローンチした「nearMe.」。タクシーで同じ方向に行きたい人が見つかり相乗りでき、長いタクシー待ちの行列を解消し、相乗りすると料金も安くなるというサービス。白タクとは異なる手段でタクシー難民解決に挑んでいる。


一方、サービスのキモ(=マッチング率アップ)がユーザー数に依存するため、ユーザー獲得が直近の課題。オンラインでの告知だけではなく、サービスの紹介や聞き込みを兼ねて、金曜日の終電後には主要駅でタクシー行列に並ぶ人たちに直接ヒアリングやビラ配りを続けているそう。様々な障壁がある日本だからこそ、便利でお得な相乗り文化の普及にチャレンジし続けてほしい。