「TechCrunch Tokyo 2018」注目スタートアップ10選―後編

2018.11.26

2018年11月15日(木)・16日(金)に、東京・渋谷ヒカリエで開催された、日本最大級のスタートアップの祭典「TechCrunch Tokyo 2018」。業界を超えた気鋭のスタートアップが集結し、デモブースでの実演や、若きスタートアップの登竜門として注目度の高い「スタートアップバトル」が繰り広げられ、会場は終始熱気に満ちあふれていた。

本レポートでは、GRASSHOPPER編集部ライターが、次世代のスタートアップシーンを牽引するであろう企業・クリエイティブを感じさせる企業10社をセレクト。前編・後編に分けてお届けする。

前編はこちら

奇跡のDNAを持つ「ハエ」が解決する世界の食糧危機/株式会社ムスカ

接戦が繰り広げられたスタートアップバトルにて、見事優勝を掴み取ったムスカが掲げたのは、「ハエが世界の食糧危機を救う未来」。

45年1,100世代の品種改良を重ねた、奇跡のDNAを持つ「イエバエ」を使うことで、今までゴミとして捨てられていた有機廃棄物から、養殖や畜産向けの「飼料」(幼虫)と農業向けの「肥料」(幼虫の排泄物)を作り出すというのだ。しかも、わずか1週間でそのサイクルを実現する。

さらに注目したいのは、飼料・肥料の販売に加え、原料の仕入れさえも利益にする「トリプルインカム」を実現している点。悪臭や処理コストのかかる生ゴミを原料とすることで、自然・環境保全を叶えながら、コストを見事なプロフィットに変える。

数十年後に起こる人口爆発、そしてそれに伴うタンパク質危機や食糧危機が叫ばれる今。有能な「昆虫」を味方に、ゴミを100%リサイクルするという「新時代の持続可能な社会」を目指す彼らから目が離せない。

荷物を預けたい人と荷物を預かる店舗をつなぐシェアリングサービス/ecbo株式会社

昨年のスタートアップバトルに出場した企業の1年間の成長をプレゼンテーションする「Product Update」では、8月にプロサッカー選手・本田圭佑氏の出資で話題になった、店舗の空きスペースを活用した荷物一時預かりサービス「ecbo cloak(エクボ クローク)」が登場。

ecbo cloakは、どこかに預けたい荷物の数に対して、預け先(駅のロッカーなど)の数が足りない問題に着目し、街中あらゆる場所に荷物を手軽に預けることができるサービスを2017年に立ち上げた。荷物を預けたい人と、空きスペースがある店舗双方にとってWIN-WINの仕組みで、2017年のローンチ以降成長し続けている。預け先となる提携店舗も、カフェから美容室、百貨店、郵便局と拡大を続け、駅のロッカーに頼らずとも、街のあらゆる場所に荷物を預けることができるようなインフラの構築を実現している。ローンチ当初は、海外からの旅行客がメインターゲットであったが、国内での日常使いも多いことから、国内におけるプロモーションを強化し、日本人のサービス認知向上を図る。また、同スキームの海外展開も本格化ということで、今後のさらなる急成長に注目したい。

世界で最も消費されるタンパク質・豚の生産性を改善/株式会社Eco-Pork

タンパク質危機や食糧危機に対して、養豚の生産効率をテクノロジーの力で改善するサービスが、スタートアップバトルでファイナルに残ったEco-Porkの、養豚農家のための経営改善システム「Porker」だ。

養豚農家は一家につき、多いところだと10万頭もの豚を飼育しており、その管理コストに大きな削減の余地があることに目をつけ、豚と農場のデータの管理、農場成績の見える化、農場課題の抽出・見直しまでの一気通貫したPDCAソリューションを開発した。また、農家だけでなく、豚の飼育指導をする獣医も管理データを見られるような仕組みにしたことで、獣医が農場に足を運ぶ負担を軽減するとともに、農家と獣医の双方から改善ポイントを見つけることができるようになった。今後は、農場のIoT化を進めることでさらに効率的な農場データ収集を目指す。

職人のためにつくり込まれた建設現場専用マッチングサービス/株式会社助太刀

様々な領域でIoT化が進む時代から置き去りになっていった建設業界に革命を起こしているのが、職人マッチングサービス「助太刀」だ。職人が建設現場における担当職と居住地を登録するだけで、その職が求められる現場が紹介されるというシンプルなサービス。

これまで人づてに集めていた建設現場における職人確保問題を解消する画期的なツールとして、2017年のサービスローンチ以降、瞬く間に職人に広がっていった。注目すべきは、あえて機能面での革新を追わず、とことん職人の使いやすさを追求したサービスデザイン。機能は極限までそぎ落とし、文字は読みやすさを重視。職人にとって嬉しい、作業の代金をすぐにコンビニATMで出金できる仕組みも実現している。

「自分らしく働ける」を目指すLGBT向け就活・転職活動サイト/株式会社JobRainbow

67.5万人。年間、これだけの数のLGBTが、多くの苦労や不安を抱えながら就活や転職活動に取り組んでいる現状があるという。

東京大学出身の姉弟が立ち上げた「JobRainbow」は、LGBTのユーザーと厳選された300社ものLGBTフレンドリー企業をつなぐ就活プラットフォーム。それぞれの企業は、「福利厚生で同性パートナーシップを認めるか」「差別禁止の規定があるか」といった24の項目で評価が可視化されており、ユーザーがそれぞれのニーズに合致した企業と出会えるという。

サイト上に用意されたエントリーシートでは、40種類以上のセクシュアリティを選択できたり、応募企業内でのカミングアウトの範囲を選択といった選考プロセスでのケアはもちろん、トイレ・更衣室の利用方法なども登録することができ、入社後の安心も保証してくれる。さらに、ウェブだけでは取り除けない不安を解消すべく、LGBTに理解のあるキャリアアドバイザーが常駐し、いつでも無料で相談のサービスが受けられるのも魅力的だ。

現在、月間のアクティブユーザー数は12万人を突破。今後の展望についてCEOの星賢人氏は、「就職を手始めに、結婚・金融・住宅・介護といったLGBTのライフイベントを多面的にサポートするプラットフォームを目指していきたい」とスタートアップバトル壇上で、熱く語った。