ノバルス 日本発の技術・乾電池の“再発明”に挑戦/採択企業インタビュー

2019.02.15

電通と多彩なメンター陣による、スタートアップ支援プログラム「GRASSHOPPER」。3月開催予定のデモデイに向けて、1月より第1期のメンタリングが行われている。

並行し、第1期採択企業へのインタビューをスタート。事業内容や当プログラムにおける目標などを聞いていく。今回は、すべての世の中の製品をIoT化することをミッションとするノバルス株式会社。取締役 事業開発部最高責任者CMO兼CSO 山中享に、前編では事業内容や今後の展開について聞いた。

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「身の回りのモノをIoTに変身させる乾電池」で日本発の技術の再発明に挑む

ーまず、ノバルスの事業内容を教えてください。

山中:乾電池型IoT「MaBeee」を開発しています。現在二つのモデルを展開しており、一つは「コントロールモデル」で、身近な玩具や家電などをスマートフォンからコントロールできるものです。もう一つは、デバイスの利用状況や電池残量をクラウド上で可視化できる「モニタリングモデル」です。

このモデルは、今春「MaBeee見守り電池」としてリリースを予定しており、例えば高齢者宅のテレビのリモコンが押されると、そのアクションが遠隔の家族に通知されるなど、現時点では主に見守り用途で使っていただくことを想定しています。

ー立ち上げたきっかけは何だったのでしょうか?

山中:ノバルスは、代表の岡部顕宏が創業した会社で、私は2017年にジョインしました。当時、セイコーインスツルで新規事業の企画などに携わっていた岡部が、スマートウォッチのようにあらゆるところで用いられるIoTを実現したいとの思いから、電池を使ったあらゆるものをIoT化できる電池型のデバイスという、MaBeeeの原型となったアイデアを提案したのがきっかけです。しかしその時は社内で実現できなかったため、起業という形でスピンアウトして生まれたのが今のノバルスです。

IoTは我々の暮らしを便利に、そして豊かにしてくれる一方で、大手メーカーでない限り、機器を一から作ることは、技術面でも金銭面でもとてもハードルが高いものです。しかしMaBeeeは、IoTの開発で一番難易度の高い無線部分と電源技術、小型化を一体とした製品で、電池式のプロダクトであれば電池を交換するだけで、IoTに変化させることができます。デバイスメーカーはもちろん、主婦やDIY好きの方、伝統工芸士の方など、IoT開発が難しかった層にとってIoTの製品作りが身近なものになります。

ー日々、多くのIoT製品が市場に登場しています。MaBeeeの強みは何でしょうか?

山中:例えば先ほどの「MaBeee見守り電池」でいえば、市場には既に膨大な数の見守り関連商品が登場しています。ただし、そのような製品は赤外線センサーやカメラを使った製品が多く、見守られる側の高齢者は「監視されている抵抗感」のあるものが多い。MaBeeeなら普段使用しているものの電池を取り替えるだけなので、暮らしの中に導入しても目に見えるものではなく、生活スタイルを変えるものでもないので、元気な高齢者の方々にも抵抗感なく使用してもらえます。

さらに特定の機器ではなく、身の回りのあらゆる製品を見守り機器にすることができます。難しい工事も不要なため、価格も抑えられる点も強みです。

ー今後、見据えている事業展開について教えてください。

山中:まずは2019年の春から「モニタリングモデル」を市場で展開後、電池が通信できることの強みを活かし、電池の利用データを活用したビジネスをさらに広げていきます。

B2Cでの展開であれば、子どもの防犯ブザーをIoT化することや、庭のセンサーライトに導入するなど、ホームセキュリティへの活用も考えられます。またB2Bであれば、例えば駅のトイレに導入することで、一日あたりの利用者数をカウントしメンテナンス用途に使っていただくこともできます。このような市場ごとのニーズに応じたアプリケーションを、その業界のプレーヤーとコラボする形で増やしていきます。

また中長期では、現状は市販の乾電池をMaBeee専用ケースに挿入して使用いただいていますが、通信モジュールを極小化して電池に内蔵することを目指しています。そうなると後付感がなくなり、生活シーンで利用されている機器が、充電型で通信のできる一体型製品に生まれ変わります。将来的には当社が持つ特許を生かして遠隔充電の機能も備えることも目指します。

今やもうこの規格があたりまえに世界中で利用されている乾電池は、そもそも日本人が明治時代に発明した、日本生まれのテクノロジーです。その本数はなんと毎年500億本以上にもなります。当社はこの日本人が開発した技術を受け継ぎ、この日本の技術者のテクノロジーを「通信する電池」という形に進化させ、世界中に広まるIoTの世界で革命を起こしたいです。

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Interview & Text:長谷川きなみ
Edit:市來孝人