ドローンの重心制御技術で「ハードウェアに風穴をあけるイノベーションを」エアロネクスト/採択企業インタビュー

2019.03.01

電通と多彩なメンター陣による、スタートアップ支援プログラム「GRASSHOPPER」。3月開催予定のデモデイに向けて、1月より第1期のメンタリングが行われている。

並行し、第1期採択企業へのインタビューをスタート。事業内容や当プログラムにおける目標などを聞いていく。

今回はドローンの重心制御技術「4D Gravity®︎」を手がける株式会社エアロネクスト 代表取締役CEO 田路圭輔。前編では技術の概要や、なぜドローンの「軸を安定させる」ことに注目しているかについて聞いた。

後編はこちら

ドローンは根本的な機体の構造を変えない限り、劇的な進化は起こりえない

–エアロネクストの事業内容を教えてください。

田路:エアロネクストでは、自らを「ドローン・アーキテクチャー研究所」と定義しています。世間的にドローンといえばあくまでホビー機であり、空撮用であり、セルフィーカメラという認識だと思いますが、我々はドローンの本質は、空飛ぶ産業用ロボットであり、エアモビリティであると考えています。

現在普及しているドローンの機体は構造的な欠陥があることから、数年先にドローンが社会インフラとして飛び回るような社会を目指すにはハードウェアレベルからイノベーションが必要と考え、創業しました。

–具体的にどのような技術なのでしょうか?

田路:従来のドローンは、移動したり何か作業しようとすると、空中で機体が傾き重心がぶれてしまいます。その構造的な欠陥を見直すべく、どんな飛行状態でも軸がぶれずに安定して仕事ができるドローンを開発しました。そのコアとなっているのは、ドローンの機体の中から、飛行するためのコンポーネントと目的を果たすためのコンポーネントを分離する技術です。

–これまでのドローン開発企業とのアプローチの違いは何ですか。

田路:これまでのエンジニアは、ソフトウェアの制御で機体を安定させることばかり取り組んでいて、ハードウェアからのアプローチはありませんでした。実際、1990年ごろから今日まで、機体フレームは一切進化していないんです。

技術開発の観点から言うと、基本的にソフトウェアはハードウェアの限界を超えることができません。ドローンは根本的な機体の構造を変えない限り、これ以上の劇的な進化は起こりえない。そんな考えのもと、ドローンのハードウェアに風穴をあけるイノベーションを生み出しました。

–エアロネクストの技術によって、ドローンの可能性はどのように広がると考えていますか?

田路:ホビードローンではなく、産業用として点検、警備、消防、運搬、救急など用途が一気に拡大すると考えます。目的を達成する産業用ロボットとして最も重要なのは、機体が安定していることです。軸がぶれないということが弊社の技術・4D Gravity®︎の最大の特徴で、この技術をベースに様々な産業用ドローンの用途を開発していくことができます。

例えば、天井に張り付いて無人警備するロボットや、目視できない狭い空間にカメラだけ差し込むといった作業や、重たいホースをぶら下げた空中での放水作業など、軸がぶれないドローンは様々な産業領域での活用が見込めると考えています。

そして、この技術を活用した用途開発を、ライセンスビジネスとして拡大させる戦略をとっています。

–製品を開発して売るというメーカー的な発想とは、全く異なる考え方ですね。

田路:エアロネクストでは、知財(IP)を自社の技術を守るためのものではなく、技術の流通スピードを速めるものだと考え、4D Gravity®︎技術を広範囲に知財化しています。自分たちの技術を世界シェア100%に近づけるためには、技術を自分たちで囲って製品化するのではなく、技術をメタ化して知財という流通しやすい形態に変え、それをライセンスして一気に世界に広げるという考え方です。

我々の技術をライセンスしたパートナーが各々の産業領域でマーケティングを行い、お金を集め、専用機体を作って、そのセグメントでのNo.1企業を目指すことで、4D Gravity®︎搭載ドローンの市場化のスピードを圧倒的に速くできると考えています。

後編はこちら

Interview & Text:長島龍大
Edit:市來孝人