Ginco ブロックチェーン領域に関心を持った経緯と描く未来/採択企業インタビュー

2019.03.28

電通と多彩なメンター陣による、スタートアップ支援プログラム「GRASSHOPPER」第1期採択企業へのインタビューを実施。今回は、仮想通貨ウォレットアプリ「Ginco」を手始めに、ブロックチェーン技術で金融領域のアップデートを行う株式会社Ginco CEO 森川夢佑斗。後編では、ブロックチェーン領域に関心をもったきっかけや、クリエイティブへの考え方を聞いた。

使ってもらうため、ロジックを飛び越えて直感に働きかけるのがクリエイティブ

–ブロックチェーンの領域に関心を持った背景を教えてください。

森川:中学・高校時代にインターネット掲示板で物の売買をしていた経験があり、ネット上での個人と個人の直接的な取引に興味がありました。その後、大学時代にAirbnbやUberなどC to Cという概念が盛り上がり、日本でもメルカリやラクマなど、個人間で完結するビジネスが普及してきました。それを見て、改めて「個人が価値をやりとりする世界」に共感し、その領域でビジネスをしたいと思ったんです。

そのタイミングで、ビットコインとその基盤となるブロックチェーンという技術に出会いました。さっそく実際に使ってみると、銀行を介さずに低コストで個人が直接送金しあえる仕組みに衝撃を受けました。このイノベーションは世の中を変えると考え、そこからブロックチェーンにコミットしはじめたのです。

–to B領域では、どのような企業に対してアプローチを考えていますか。すでにブロックチェーンの価値を理解している企業が多いのでしょうか。

森川:まず、ブロックチェーンで解決すべき課題があるかどうかが重要です。また、一見ブロックチェーンに関係ない領域でも、何かしらのベネフィットが生まれる可能性があります。様々な企業での課題解決の取り組みを増やすことで、結果として、一般の人たちに便益を届けていきたいです。

–ブロックチェーンテクノロジーの企業における、クリエイティブの必要性を教えてください。

森川:クリエイティブは非常に重要です。テクノロジーって、よく分からないんですよね。ブロックチェーンも難しくないですか?(笑) テクノロジーに魅了されたから使おうって人は、非常にマイノリティなんです。「これ使いたい!」と、人の直感に働きかけるために必要なのがクリエイティブやブランディングだと思っています。これは、一段一段積み上げるロジックでは無理なんです。つまり、テクノロジーの領域におけるクリエイティブの価値の本質は、難しいロジックを一気に飛ばすことができる「教育コストの削減」にあると考えます。

–今回、GRASSHOPPERのプログラムに参加した理由を教えてください。

森川:ブロックチェーンの価値は、まだまだ一般の人に知られていないですよね。それを広めて社会をアップデートするためには、自分たちだけではなく、様々な企業に対してブロックチェーンの価値を啓発し、一緒にユーザー価値をつくっていくことが重要です。その際に、ベンチャーが大企業といきなり組んで何かをやっていくことは非常にハードルが高いため、企業に対してどんな提案をしていくかというメッセージングのブラッシュアップや、日本中の企業とのネットワーキングを行えるこのプログラムは、我々にとって願ってもないチャンスだと考え、参加しました。

–最後に、将来の野望を教えてください。

森川:私個人としては、人類の精神性の向上に寄与したいと考えています。哲学家になりたいと思うことがあるんですが、人間がどうあるべきかを考えていくと、人間がつくりだした資本主義という社会システムの課題にぶち当たることが多々ある。前提から変えていかないといけないぞ、と。
生活に困らない所得の水準があったとしても、今の社会は結局稼げば稼ぐほどお金が欲しくなる仕組みになっており、自分はどこで満たされるか、足りるかを規定できないんです。そうした精神的な負担の大きな仕組みではなく、別の経済もしくは社会システムをつくり、人があるべき姿を追求できるような、めぐりのいいかたちに変えていきたいと思っています。そのことに向け、今はブロックチェーンという領域から注力しています。

Interview & Text:長島龍大
Edit:市來孝人