チャット解析で社内コミュニケーションを見える化し「働き方を変えていく」Laboratik/採択企業インタビュー

2019.03.01

電通と多彩なメンター陣による、スタートアップ支援プログラム「GRASSHOPPER」。3月開催予定のデモデイに向けて、1月より第1期のメンタリングが行われている。

並行し、第1期採択企業へのインタビューをスタート、事業内容や当プログラムにおける目標などを聞いていく。今回はチャット解析に基づくエンゲージメント改善ツール「We.」を開発しているLaboratik株式会社 Founder/CEO 三浦豊史。前編では事業内容や、起業のきっかけについて聞いた。

後編はこちら

チーム状況の変化を知る、ビジネス面での健康診断ツール

–自社のミッションについて教えてください。

三浦:「働くを進化させる」というミッションを掲げています。社員は10名、オランダ、ポーランド、ベトナム、日本と各国に散らばっているのですが、ビジネス用コミュニケーションアプリのSlackやZoomを駆使してやりとりしており、企業ミッションを自ら体現すべくこのような働き方をしています。

–事業内容について教えてください。

三浦:コミュニケーションのデータを解析することで、チームのつながりやエンゲージメントを可視化し働き方を変えていく、Slack上で動くbot「We.」です。

「チームが見えるを当たり前に、簡単に」をコンセプトに、自然言語処理技術と独自アルゴリズムを用いてSlack上で交わされるチャットデータを解析します。そして 組織の関係性を可視化して、エンゲージメントの理解と改善を迅速化し。週ごと、月ごとにまとまったデータをレポート形式でお客様に共有しています。

APIの質が最も良いため、今はSlackに特化していますが、今後はMicrosoft Teams、Facebook、Google、LINE、これらのサービスは全てビジネスチャットを提供しているので、APIが揃い次第そちらにも展開していきたいと考えています。

–立ち上げのきっかけはどのようなものですか?

三浦:前職がGoogleだったのですが、Googleで我々が今やっているピープルアナリティクスという分野を活用していたことがきっかけです。

これは、働き手のパフォーマンスデータを分析することで働き方を理解し、 組織全体の生産性やクリエイティビティを向上するための手法です。感覚的ではなく科学的な組織づくりとして、GoogleやFacebookなどは10年以上前からこのやり方を実践しています。その様子を見ていて、こういった技術は企業が強くなるために必要になるものだと思い、もっと手軽に使えるサービスを自分たちで作ろうと思いました。

一方日本では、働き方改革の流れもありピープルアナリティックスを実践しようという会社が徐々に増えてきていますが、アメリカと比べると10年遅れてしまっているということになります。我々はこの遅れを取り戻すようなサポートをしたいと思っています。

マーケティングや広告の費用対効果などは色々データをやりくりしながら活用しますが、人事や組織となると、結構ウェットというかアナログになりがちです。全てをデータで明らかにする必要はないですが、もっとデータを使って改善点がわかるようになったりしたらよいのではないかと感じたのです。

「We.」ではチームのコミュニケーション状況の変遷を時系列でチェックすることができるので、健康診断と同様に、自分たちのチーム状況がどう変化しているのかが即座に理解できます。管理ツールというよりは、ビジネス面での健康診断ツールとして捉えています。

–クライアント数は現在どのくらいでしょうか。

三浦:2018年の10月頃からClosed βで一部のお客様にだけ提供し始め、現時点では上場企業含む15社にお使いいただいています。「We.」の前から開発している別プロダクトは既に1,200社以上の企業に登録いただいており、今後はそれと合わせてマネタイズを拡大していくというフェーズです。

クライアントは大手企業が多いです。勤務時間を短くしたり休みを増やしたりという取り組みはどの企業もされていますが、それで大きく変わるわけではなく、本質的なワークスタイルの変革とはなんだろうと悩んでいるというご相談が多いです。

9割は日本の企業、残りはアメリカ、シンガポールといった英語圏が多いです。特に国によって大きな違いはないですが、日本より海外の企業の方がデータを活用することにポジティブな企業が多いなという印象があります。そういう動きを日本でもサポートしていきたいです。

–具体的な事例について教えてください。

三浦:リコーさんと早稲田大学との共同研究として、チャットのデータと社員の感情データを解析し、それに相関性があるかをテストしました。社員に対し早稲田大学の教授がコーチングをし、その前後でチャットのデータと感情傾向はどう変化したかを追いました。すると、コーチングの直後は感情が高まり、チャットの内容もポジティブな内容が多くなるという相関がわかりました。チャットデータと感情データをチェックすることで、組織への満足感や貢献したいという意欲が軒並み上がったんです。そういった「なんとなく今までわかっていたこと」をデータでチェックできます。

–今後はどのように展開予定ですか?

三浦:日本での展開はもちろん、日本だけで閉じていたら起業した意味がないと思います。特に我々の取り組む分野(働き方)は、どのような国でも課題になることですから、海外で私たちのサービスが役立つサイクルを作っていきたいです。

具体的な動きとしては、今年夏頃には台湾に開発拠点を作る予定です。日本と台湾は文化が非常に近く距離も近いので、このような近場から人材を育て展開していくことを考えています。

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Interview & Text:市來孝人