加藤貞顕・鎌田和樹・須藤憲司・溝口勇児がスタートアップに贈るメッセージとは?

2019.05.23

第2期の概要を近日発表予定のメンタリングプログラム「GRASSHOPPER」。3月27日には電通ホールにて、第1期プログラムの成果発表の場となるデモデイ「GRASSHOPPER DAY 2019 SPRING」が開催された。同時に行われたトークセッションでは、今注目の人気企業が集結。その「成長の秘訣」をテーマに語り合った。

登壇したのは、ピースオブケイク 加藤貞顕(「note」や「cakes」など個人の創作活動を支援するコンテンツプラットフォームを展開)、UUUM 鎌田和樹(YouTuberをはじめとするクリエイターのマルチチャンネルネットワークであり、クリエイターのマネージメントなどを行う)、Kaizen Platform 須藤憲司(Webサービス、Web動画広告の改善サービスを提供)、FiNC Technologies 溝口勇児(ヘルスケアアプリ、フィットネスクラブ運営などデータを駆使したヘルスケア事業を展開)。モデレーターは中村洋基(PARTY/GRASSHOPPERメンター)。

そんな4社に関して、まずは急成長したターニングポイントについて語られた。

急成長を遂げる各社、成長へのターニングポイントはどこだったのか

鎌田:YouTuberを7000人ほど抱えていますが。最初の20人ぐらいまでは、実際に自分でスカウトしていました。一人のクリエイターに会うために4、5時間動画を見て、クリエイターを理解して、口説く前にまず共感するところからやっていました。次のステップとして、YouTuberを1000人募集したことでトップクリエイターが生まれ、僕らも一気に踏み出した時期がありました。そのタイミングが、大きくグロースするキッカケになったと思います。

加藤:成長する上で一番大きいのは、やっぱりメッセージの出し方ですかね。もともと「noteって儲かるよ」というようなイメージが先行したんですが、それを「noteは儲かることもあるんだけど、それよりもクリエイティブを継続するのにすごくいい場所だよ」と、より強調して発信するようにしたんです。クリエイター向けにそういうメッセージを出すことを徹底し、社内の体制も全部そこにフォーカスしてやっていきました。noteみたいなプラットフォームの運営って、「街づくり」みたいなものかなと思っているんです。暖かくてクリエイティブな雰囲気をいかに保てるか。そこをサポートする仕組み作りには力を入れています。

溝口:今はスタートアップの領域に限らず、あらゆるビジネスで、構想よりも実行の方が重要になってきているんじゃないかなと思っています。なので、実際に開発してお客様の前に出してみて、あとはそれをどれだけのスピードで改修し続けるかということが肝かなと思います。

須藤:成長のモメンタムとなったのは、とにかくポジショニングですね。B to Bビジネスの僕らは、最初A/Bテストを始めたんですが、他に専門でやっている会社がないので伸びました。パーソナライズや動画も同じです。でも、どこがグロースするかは、当時そんなにシャープに見定められていなく、動画も2年ぐらい停滞していました。伸びたキッカケは動画広告の作り方。実はほとんどの会社が動画の素材自体を持っていなかったので、静止画から動画を作ったら大ウケしたんです。要するに、自分たちが最初狙っていないところに伸びるポイントがあって、それを単純に見つけたというケースもあります。

また、スタートアップの成長には不可欠な、資金調達に関する考え方も明かされた。

溝口:ベンチャー企業でエクイティファイナンスが必要な業態は、1%ぐらいじゃないかなと。ならばそれをどうやって判断するかといったら、まず市場規模はどこなの?スケーラビリティはどうなの?自分たちはどこにたどり着きたいの?というところ。また、その領域の参入タイミングは今でいいの?競争環境はどうなの?どんな社会の課題を解決したいの?自分はそれを本気でやりたいの?となどと、色んな観点の中でエクイティファイナンスをするのか、デッドファイナンスをするのか、あるいは本当に自己資金だけで成長していくのか考える。そういう観点で、自分たちのファイナンス戦略を考えていくのが正しいんじゃないかなと思います。

須藤:会社のフェーズによるんだと思います。シードとか、シリーズAとかシリーズBとか、それぞれタイミングによってどれだけ何をビジネスとして証明していないといけないかという、よく言われるセオリーもありますが、結局資金を調達しても、そのビジネスがどのタイミングでモノになっていくのかは、最初は意外と分からないケースがすごく多い。なので、自分たちの立っている、掘っている市場は何なのかを探すのが大事。自分たちがどういうマーケットに立っているのか、結構考えていかないと、エクイティの裏付けはちょっと難しいかなと思います。

スタートアップに贈るメッセージ

最後に、デモデイに登壇するスタートアップ企業に向けて4名からの言葉が。

鎌田:本当に、プレゼンが上手いなあと思って見ています。ただ、プロダクトやサービスを作るのが上手い人と、会社を経営する人って別物だと思っているので、そこにいずれ、つまづくんだろうなっていうことをよく最近感じます(笑)。もちろんそういうことがあったら相談には乗りますよ。

須藤:経営者自身の成長が相当重要で、何か1発ヒットして伸びていくだけじゃ、成功はほとんどないと思います。必ず荒波がくると思うので、その時にどんな選択肢をもっていられるかが大事では。人間的な成熟も重要。それをどこか心に留めていただけるといいのではないかと考えています。

溝口:選択ということでいうと、例えば2手の分かれ道を10回選択すると1024通りの未来があるんですよね。自分が作り上げたい世界とか、成し遂げたいビジョンとかゴールみたいなものがあったとして、1024通りもの未来がある中で、ただの一つもそこに繋がっていないなんてことはありえないと思っています。もしそれが繋がらないなら、自分の妥協や、ジャッジや判断の選択ミスによって起きている事象だと思います。今を作っているのはまさに、これまでの人生の選択。皆さんが本気で成し遂げたいものがあるなら、日々の選択も大きな選択も、ゴールから逆算して一つ一つ判断していくのが正しいんじゃないか。 

加藤:ピッチのレベルがすごく高くて、身が引き締まる思いです。僕は元々は編集者で、クリエイターのものづくりのお手伝いをする仕事をしていました。たぶん、起業家も似たような存在だと思います。社会に対して自分自身が違和感があって、表現しないわけにはいかない…そんな人がやる仕事だと思うので、応援していますし、ぜひ何か一緒にできることがあったらご一緒したいなと思っています。

そのほかにオフレコで立ち上げ期の苦労談も多数明かされ、スタートアップにとって有用な話題・体験談が飛び交うセッションとなった。

Report:長島龍大