プロも唸った企画続出!初中級者向けブロックチェーンハッカソン「DECRYPT TOKYO2019」

2019.07.24

初中級者向けのブロックチェーンハッカソン 「DECRYPT TOKYO」が6月8日(土)9日(日)、東京都内で開かれた。Quantstamp、NodeTokyo、Neutrino、HashHubの共同開催。2日間のイベントの様子や、発表された企画内容、参加者の感想などをレポートする。

このハッカソンは、ブロックチェーンの初中級者を中心に、アプリケーションの企画立案から開発、発表までを行うもの。100人を超える参加者が4~6人の全20チームに分かれて、1日目はオリエンとチーム編成から企画・開発、2日目の午後に各チーム10分間のプレゼンを行うプログラムだ。

参加者はエンジニアを目指す学生から、実際に国内外のブロックチェーン関連企業のエンジニアとして活躍している人まで様々。バックグラウンドの異なる即席チームで限られた時間内に結果を残そうと、各チームとも企画の進め方に工夫を凝らしていた。例えば、ブロックチェーンでできることを機能別、特徴別に整理・共有してから企画に入るチーム、あるいは、マクロな社会的な課題を挙げつつブロックチェーンを繋げていくチームなど。ディスカッションは非常に白熱しており、企画から開発まで集中して楽しみながら進めている様子が印象的だった。

Photo by Taishi Masubuchi from Quantstamp
Photo by Taishi Masubuchi from Quantstamp

Speee六本木オフィスを2フロア使い、質問の受け付けは常時Slackで対応。協賛企業による技術や活用事例の講演も別フロアで実施するなど、十分な環境が整えられていた。

2日目の午後には、プレゼンテーションとQ&Aが行われた。LayerX 片桐潤氏、Metaps青木宏文氏、Quantstamp Richard Ma氏はじめブロックチェーン領域における国内外トップランナーの審査員11人に加えて、他の参加者100人超の前という舞台ながら、どのチームも堂々たるプレゼンテーションだった。

審査員からの質問の多くは、その企画を実際に社会実装するためにどうすべきか?詰めるべきポイントは何か?という視点のもの。Q&Aを通して、参加者へプロの視点が移植される機会にもなっていた。

Photo by Taishi Masubuchi from Quantstamp

本稿では1位~3位に輝いた3プランをご紹介する。

優勝「仮想お墓ゲーム」

Photo by Taishi Masubuchi from Quantstamp

故人の情報をブロックチェーンにNFT(Non Fungible Token ※1)で記録して、仮想的なお墓を構築するというサービスだ。「お墓の土地不足」「管理者がいない無縁仏の増加」「物理的なお墓の管理コスト」などの現状の課題に対して、ブロックチェーンに記録された故人情報にアクセスすることで仮想的なお墓参りができたり、ユーザーセグメントによってアクセス許可レベルを分ける機能や、供養(投げ銭)する機能を備えている。
お墓をトークンで管理するという発想そのものに加えて、デモまで作り込めていたこと、プレゼンテーションのうまさも加点されての第1位。プレゼン中に会場が一番盛り上がっていたので納得の優勝である。
※1 NFT(Non-Fungible Token):互いに代替することができない独自性を備えたトークンのこと。

準優勝「MYPAYPAY」

Photo by Taishi Masubuchi from Quantstamp

契約書・マイクロペイメント・就業証明を一括で管理できるサービス。「働き方改革」を背景に、単位の小さな仕事の契約や報酬が増えてきた場合、手続きの煩雑さもこれからの世の中において増加することが想定される。このサービスでは、スマートコントラクトによって個人が簡単に契約を作成でき、かつ、マイクロペイメントによって報酬がすぐに支払われ、加えて、実績が次の就業のための履歴となることを実現する。現実に起こりえる大きな課題に対してのソリューション。ブロックチェーンの機能特性との相性でいうと、「信頼できる実績の積み上げ」「契約の自動履行が可能」といった点が噛み合っていた。

3位「COME-ON!! “Attract Attention”」

Photo by Taishi Masubuchi from Quantstamp

誰もがトラストレスかつ手軽に懸賞キャンペーンの主催者となれる、そんなプラットフォームを提供するサービス。現在、応募型の懸賞やプレゼントなどは、決め方および結果がブラックボックスとなっている。このサービスでは、企業はプラットフォーム上でセールやキャンペーンを作成し、懸賞をブロックチェーン上で実施することで信頼性を担保でき、ユーザー獲得に繋げられる。ユーザーはオープンでフェアな過程と結果を確認でき、セールへの信頼性が向上することによって安心して参加できる。
さらに今後、YouTuberなどの個人でも何かしらのキャンペーンを行いたい!というニーズは増えていくはず。実際のビジネスへの展開がイメージしやすいプランになっていた。

主催者に聞く開催の目的

どのような想い・目的でこのハッカソンを開催したのか、主催メンバーであるEAST NODEの大日方祐介氏に聞いた(同じく主催のQuantstamp小田啓氏へのインタビュー記事も後日公開予定)。

–本イベント開催のきっかけや目的を教えてください。

今年の年明けごろだったと思いますが、Quantstampの小田啓さんとアイデアベースで始めました。私自身、新しい人をブロックチェーン業界に呼び込みたいという思いがあって、去年からCryptAge(学生中心の若手ブロックチェーンコミュニティ)を始めていました。実際、ブロックチェーンに触れたことで起業した学生もいますし、企業のエンジニアとして活躍している人もいます。この領域における日本語の情報はまだ潤沢ではなく、一人での学習やスキル向上はハードルが高いと思っており、週末にみんなで集まってガッと手を動かせる機会、もしくは継続的に情報交換できるようなコミュニティがあれば興味を持ってもらいやすいのかな、と考えて企画しました。

–初中級者が対象でしたが、工夫した点は?

 応募の時点で個々のブロックチェーンの技術レベルがわかるように募集をかけました。チーミングの際は、レベルの高い人を分散して配置し、足りない分は外部のメンターも参加いただくことで最低各チームに一人は上級者がいるように整えました。それによって、疑問や質問がチーム内で解消されないという不安を取り除くことはできたと思います。

–イベントを開催しての手ごたえは?

日本のエンジニアのレベルの高さをすごく感じました。成果物のクオリティが想像以上に高かったです。海外のプロが参加する大型のハッカソンを経験しているエンジニアからは、それらと遜色のないレベルだったとの話ももらっています。また各チームに散らばったメンターからは、初心者の技術力がこの2日間で急激に伸びた、とも聞いています。独学で進めるよりも、模擬的ではありますが実践と近い環境での開発体験が短期間でのレベルアップを促したのだと思っています。
 
–今後のプランがあれば教えてください。

引き続き、この業界に興味を持ってもらうための活動を精力的に続けていきたいと思っています。

主催メンバー/Photo by Taishi Masubuchi from Quantstamp

イベント終了後、参加者にヒアリングしたところ「メンターと一緒にプログラムを進めることができて、自分に足りなかったものがわかった」「想像していた以上に、自分でコードを書けることが実感できた」などの意見が多く、このイベントが初心者の背中をしっかりと押せていたことをうかがわせる結果となった。

またスポンサーサイド(LayerX、Financie、他)からも「こういった将来の可能性のあるエンジニアとつながることができるのは非常にうれしい」「今まで参加したハッカソンの中で最高レベルのアウトプットだったと思った」等、非常に高い評価を得られていた。

独学と実業の間を埋めるアクティブなコミュニティイベントが、日本のブロックチェーンコミュニティの拡大に大きく寄与する、そのことが見えた2日間だった。このようなイベントが増えることで、日本が勝てる分野としてのブロックチェーンのエコシステムに様々な入り口が作られていくことを願っている。

Report:坪田豊
Edit:西村真里子、市來孝人