「戦い方を変えることができた」第1期参加企業・Super Duperが語る、GRASSHOPPERメンタリングの成果

2019.08.01

現在、第2期メンタリングプログラムの参加スタートアップ企業を募集中のGRASSHOPPER。

今回は、第1期に参加した株式会社Super Duper CEO 鈴木知行にインタビュー。メンタリングプログラムへの参加で何が変わったか、また他のスタートアップにGRASSHOPPERをレコメンドしたいポイントや理由について聞いた。プロダクトSatisfoodを導入したお店がトリップアドバイザーで東京23区で2位になったと聞き、現地での手応えもあわせてお届けする。

–GRASSHOPPER で得られたものはなんですか?1番大きく変化したものがあればビフォーアフターで教えてください。

戦い方を変えることができたと思います。スタートアップのプロダクト作りは、1点を尖らせがちな傾向があり、結果、カバーエリアがどうしても狭くなってしまいます。Satisfoodも1個でも強いものがあればいいと思い作り込んでいました。ところが(メンター)深津(貴之)さんのワークショップで、「プロダクトには必要な要素がいくつかある。その中でAが100点でCが0点のようなバラバラの状態よりは、各要素が30点でも揃っている方が良い」とお聞きし、自社のプロダクトを見直しました。飲食はどちらかと言うとレガシーな業界ですが、完成されたオペレーションフローを持っています。1部分だけ尖っているプロダクトを持っていってその部分のオペレーションを変えようとしても導入は難しく、その点を改善したところ、飲食店さんの方から歩み寄ってくれるようになり、会話が進み、売りやすくなりました。プロダクトだけではなく、社員の意識も1点を尖らせるところから徐々に変化し、ビジュアルやデザインも自然に変わっていきました。

また、我々のビジネスがBtoBtoCであることから、消費者側と飲食店側それぞれ必要な要素の洗い出しを行い、統合していったところ、セールスにつながるプロダクトとなりました。

もう1つ得られたことは、どうすればリプレイスされないサービスを作れるかというブランディング面です。電通の樋口(景一)さんと、「飲食店が困っている項目には、エデュケーション、デベロップメント、レピュテーションがある。リプレイスされないためには、この項目をカバーしている状態を作る」というディスカッションを行い、当てはめてみるとすべてプロダクトと符号する項目でした。ただそういった軸で飲食店にこれまで語れていなかったため、改めてその3軸で捉え直し語るようにしたところ分かりやすくなり、お店を開拓するときの強みになりました。

自分たちの所在が明確になり、プロダクトを定義する力が強くなり、社内の結束が高まり、開発の時のブレが小さくなりました。GRASSHOPPERは、経営に大きな影響を与えていると思います。

–GRASSHOPPER後の反響があれば教えてください。

安心感のようなものが得られたことが大きいと思っています。あと、電通のオフィスのエントランスで展示があり大きく写真や社名が出たことは、反響が大きかったです。スタートアップにはああいった出方はインパクトがあります。絶対次もやってください(笑)。

Satisfoodを導入した店舗は旅行者から「ツーリストフレンドリーなレストラン」と言われるようになっており、その影響で集客にも役に立つという現象が起きています。つまり、いい体験があるからシェアされて来店が増えるということです。Satsifoodを店舗に導入することで外国人を受け入れる体制が一気に整うだけでなく、Tourist Friendlyという評価まで得られるようになります。まさにGRASSHOPPERでのメンタリング経て望ましい姿が実現できていると言えます。

さらにメンタリングでのアドバイスをもとに、9月、ラグビーワールドカップの前に新しい機能を2つ実装します。深津さんや、電通TANTEKIの鈴木契さんからのアドバイスにも基づき、Satisfoodのユニークネスの裏にある弱点を補うような機能です。

–GRASSHOPPERをどんなスタートアップにおすすめしますか?

我々のような、テクノロジーを武器にレガシーな業界に切り込んでいくような企業さんには是非おすすめします。僕らが得たような恩恵を是非、このプログラムを通して掴んでほしい、と思います。

–電通との新たな協業も進行しています。

GRASSHOPPERと並行して、地域経済の活性化を目的とした日本開発室と協業の体制を作りました。具体的には、電通本体から投資を受け、全国の地方紙と電通で作っているJTLAC(一般社団法人日本観光地域活性化機構)で、Satisfoodの販売を始めています。地方紙に主催いただき、電通と一緒にインバウンドセミナーを全国で開催しています。また7月末には、電通内で、提携できそうな大手クライアント向けの案内をスタートしました。電通の6,000社の取引先のネットワークをフルに活用させていただき、新たなサービスの浸透先を開拓していきます。皆がハッピーなwin-win、三方良しのモデルになっていくと思います。

–今後の展開について教えてください。

東京五輪が終われば海外での展開を広げます。具体的にはハワイを含むアメリカ、台湾、東南アジアに展開すべく、2020年頭からに実証実験を行い、2020年8月以降本格的に始動させます。世界の海外旅行者は、2030年には、18億人になると言われています。その人たちの胃袋を掴み、データを活用するビジネスを日本の企業がやることにロマンを感じています。日本食は素晴らしいコンテンツでサービスのレベルも高いです。我々も日本でラーニングしたものを世界に持っていく。そこで軸足がブレないよう、GRASSHOPPERで得られた知見を世界戦で活かしたいと思います。

その後、六本木交差点から数メートル、Satisfoodの導入店である六本木の「肉汁水餃子 餃包(ギョーパオ)」に向かい、実際に導入している店舗での成果を聞いた。CEOの小橋拓馬氏と、曽茂氏にお話をうかがった。

(左)曽茂氏(右)小橋拓馬氏

–Satisfoodを導入したきっかけを教えてください。

外国人のお客様には紙の英語メニューをお見せしていたのですが、それで満足度の高い体験が提供できているという実感がありませんでした。そんなときに、鈴木さんのビジョンを聞いて共感して導入しました。

–サービスを導入された効果はどうでしたか?

トリップアドバイザーの東京23区内9万7千店の中で2位(取材時)となりました。口コミを見てみると、料理の質に関してはもちろん、接客のフレンドリーさに関して高く評価いただいていることがわかります。Satisfoodに関しても’advanced menu system’ ‘system to help with the menu’ のようなコメントが多くあり当店における食体験向上に役立っていると思います。トリップアドバイザーのランキング上昇に伴い外国人旅行者のお客様は増え続けています。

紙の英語メニューを使っていたときは、外国人のお客さんは知っているものしかチョイスできませんでした。うちの売りは餃包ですが、フライドチキン、ダンプリング、小籠包がオーダーされることが多かったのです。しかし、Satisfoodを導入すると、こだわりや食べ方の説明も行うことができ、しっかりと餃包のオーダーが入るようになってきました。お客様単価も紙のメニューを使っていたときよりも15%ほどアップしています。また、外で並ぶお客さんに行列の時からSatsifoodを使っていただくと、期待値が高まり、席についてからもお客同士で楽しそうに話したりしています。

–従業員の変化はどうでしたか?

かつてはメニューの説明を外国語で行うことは難しく、「Hot,hot.Spicy,spicy.」のようになっていましたが、今はSatisfoodがその部分はカバーしてくれるため、逆に外国人のお客さんと人間にしかできないコミュニケーションをしてもっと満足度を高めていきたいという動機が自然に生まれてきました。その結果、従業員による英会話の社内塾が始まりました。これは想像していない効果でした。

Interview:月村寛之
Edit:市來孝人